19 本以下で義歯を使用していない人の「転倒リスク」は2.5倍

厚生労働省は2003 年、愛知県の65歳以上の健常者1763名を対象にアンケートを行い、過去1年の間に転倒がない者のうち、3年後の時点での過去1年の間の転倒と、残存歯数、入れ歯使用の有無との関係を分析したところ、歯が19本以下で入れ歯を使用していない人は、転倒のリスクが高くなることがわかり、歯が19本以下でも入れ歯を入れることで、転倒のリスクを約半分に抑えられる可能性もわかりました。
※歯数が20 本以上の人に対し、 19 本以下で義歯を使用していない人の転倒リスクは2.5倍、19本以下で義歯を使用している人の転倒リスクは1.36倍でした。 

歯が数本で入れ歯を使わない人の「認知症リスク」は1.9倍

厚生労働省は、噛む能力が低く、かかりつけの歯科医院がない人ほど、認知症発症率が高くなるという研究結果を発表しました。歯が20本以上残っている人に比べて、歯が数本で入れ歯を使わない人の認知症リスクは1.9倍に、かかりつけの歯科医院がある人に比べて、かかりつけの歯科医院がない人の認知症リスクは 1.4倍 になるということがわかっています。

残存歯数と認知症の関係

東北大学医学部 歯学部合同研究によると、残存歯数と認知症発症リスクの関係で、残存歯数が少ない人程、認知症になりやすいということがわかりました。脳が健康と判断された高齢者の場合、平均14.9本の残存歯数が、認知症の疑いありとみなされた高齢者の場合、平均9.4本の残存歯数と、大きな開きのあることが判明しました。さらにMRI検査でも、残存歯数の少ない人程、大脳の容積が小さくなっており、記憶をつかさどる「海馬」という部分や、高度な知的活動にかかわる「前頭前野」などの部分が著しく縮していたと報告されています。

残存歯数とアルツハイマー型認知症

「アルツハイマー型認知症」は、脳に萎縮が起きることが特徴の認知症です。CT検査による調査では、残存歯数が少ない人ほど脳の萎縮が進んでいたという報告があります。そして、アルツハイマー型認知症の人の方が、健康な人よりも残存歯数が少なかったという結果があります。また、アルツハイマー型認知症の患者の脳から歯周病菌が発見されるなど、歯周病とも何らかの関係があるとみなされており、最近の研究ではその点についてもより明らかになってきています。