歯周病は様々な「全身疾患」と密接な関係があります
これまで歯周病はお口の中だけの病気と考えられてきましたが、近年、歯周病が糖尿病、誤嚥性肺炎、早産などの原因となることが明らかになり、歯周病が全身の健康を脅かす恐ろしい病気であることがわかってきました。歯周病菌が気道や血管を介して肺や心臓に入り込み、肺炎や心疾患の原因となったり、歯周病による炎症性物質が糖尿病や早産を誘発することが明らかになっています。
歯周病菌が原因となるもの
誤嚥性肺炎(誤嚥性肺炎)
「誤嚥性肺炎」は、食べ物などを誤って気管や肺に飲み込んでしまうことで発症する肺炎です。特に高齢になると口腔内の歯周病菌などの細菌が気管や肺の中へ入ることがあります。高齢者では免疫力が衰えていることも重なって、誤嚥性肺炎を発症してしまうことが少なくありません。また、誤嚥性肺炎は高齢者の死亡原因としてもとても多い病気です。
細菌性心内膜炎
「細菌性心内膜炎」は、歯周病菌が抜歯や出血を伴う歯肉治療の際に血液中に入り込んで発病することがある病気です。
歯周病が誘因となるもの
脳疾患
「脳梗塞」は、脳の血管が詰まる病気ですが、歯周病の人はそうでない人の「2.8倍」脳梗塞になり易いと言われています。
心筋梗塞
「心筋梗塞」は動脈硬化により心筋に血液を送る血管が塞がり、心筋に血液供給がなくなる病気です。動脈硬化を起こす因子の一つとして、歯周病菌などの刺激により動脈硬化を誘導する物質が出て、「血管内にプラーク」が出来て、血液の通り道が細くなります。これらのことにより歯周病と心筋梗塞の関係もわかってきています。
糖尿病
「歯周病」と「糖尿病」には相関関係があります。歯周病では、炎症性物質が作られてインスリンの働きを妨げることで、糖尿病を悪化させることがわかっています。逆に、糖尿病では、免疫力が低下して歯ぐきの炎症がおこりやすくなるため、歯周病が発症または悪化しやすくなることがわかっています。歯周病の治療をすることで糖尿病が改善したり、糖尿病の治療をすることで歯周病が改善することもあるのです。
バージャー病
東京医科歯科大学の研究で、「バージャー病」になっている人の口腔内と患部の血管を調べ、歯周病とバージャー病との関連について検討した結果、全てのバージャー病患者は中等度~重度の歯周病と診断され、患部の血管試料のほとんどから歯周病菌が検出されました。逆に正常血管の試料からは歯周病菌は全く検出されませんでした。
関節性リウマチ
「関節リウマチ」にかかっている人は歯周病にかかりやすく、関節リウマチにかかっている人がお口の中を不潔にしている場合には、歯周病が重症化する傾向があります。歯周病があると関節リウマチが進行する理由として、歯周病菌のもつ酵素により、リウマチに関連する抗体が増えるためと考えられています。
早産・低体重児出産
妊娠すると歯肉炎にかかりやすくなるといわれていますが、妊娠している女性が歯周病にかかっている場合には、「低体重児」および「早産」のリスクが「7倍」も高くなるとされています。歯周病による炎症性物質などが原因であると考えられています。